[ [ [  行楽シーズン 2  ] ] ] 
 
 
 
 頂上の湖畔で昼御飯を食べ終わって、一行はシートを広げたままその場で寛いでいた。蝶やトンボが無数に飛び交う幻想的な世界に、イシシとノシシはただ無性に楽しくて声を上げて走り回っている。今まで旅をしていたがこんな景色は見たことがない。 
 ゾロリは食後、湖畔の原っぱに横たわっていた。 
 ガオンは双子のイノシシの写真を撮るのに夢中だったから、気づかなかった。 
 
「……あれ? ゾロリ先生」 
  
イシシが素っ頓狂な声を上げた。写真を撮り終えた二人も、すぐに駆け寄る。 
 なんとゾロリはぐっすりと眠っていたのである。 
「イシシ。ゾロリ先生起こさなきゃな。風邪ひくだ」 
「そーだな。ぞーろー……」 
「待った。 
 ……俺のマントをかけておけばいい。 
 まだ遊び足りないだろう? もう少しこのままにしておいてやろう」 
 
『え?』 
 
言うが否や、ガオンはコートを脱いでそっとゾロリの上にかける。ふわふわの毛のついたそれは見るからに温かそうだ。 
 イシシとノシシは顔を見合わせたが、やはりまだ遊んでいたい。起こしてすぐに帰るなんてつまらない。 
 それにまだ、お菓子も食べきっていないのだ。 
 考えが決まると、二人はこくりと頷きあった。 
「さっき向こうに大きいトンボがいただ。ノシシ、捕まえようぜ!」 
「よしっ。捕まえるだー」
双子はさっと起き上がって走り出す。 
 
「ま。今日くらいは俺が見てやろう」 

軽くその額を撫でてやると、夢の住人は甘えた寝言を漏らした。いい夢を見ているのか、幸せそうな顔をしている。イシシとノシシを安心して任せられると思った途端、普段の疲れがどっと出たのだ。楽しいのだけれども、無理をした旅暮らしだ。
 ゾロリが任せてくれたと思うと、これ以上なく心地よい。 
 温かな気持ちを胸に抱いて、ガオンは二人の後を追いかけた。 
 
 
 
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