[ [ [ 行楽シーズン ] ] ]
ガオンが何故か、遠足に行かないかと誘ってきた。
しかもそれも、イシシとノシシに、だ。
「……おいおい。遠足っつったって俺様たちはその日の宿も決まっていない旅暮らしなんだぜ。今更遠足なんて……」
と俺様は言いかけて止めた。
振り返ってみると、二人はわーいと両手を挙げながらくるくる回ってはしゃいでいたのである。なんと。驚く俺様にふふんと狼はいやらしく笑った。
「どうやら俺のほうがこの子らの気持ちがわかっているようだな」
「遠足だぁ!」
「遠足だ」
「お弁当はおにぎりがいいだ」
「サンドウィッチもいいだ」
「じゃあ両方にしよう」
『やったぁぁぁー!』
二人のはしゃぎ様といったらない。常日頃四六時中賑やかにしているこいつらだが、それよりも五割り増しで喜んでいる。
……正直、ちょっとだけ悔しい。
そんな気持ちまで聞こえたのか、ガオンはにやりと笑った。
「実はな、俺も用があるんだ。
写真機というのはしっているか?」
「ああ。あのフィルムに焼付けして……まあ最終的に一枚の紙に風景を写し取るやつか? このまえ大きな町で見たぞ」
「それだ。
それを俺が改良してな、その場で写真が出来上がる機械を作り出した。
ま。写真機が出来たらとってみたくなるものだろう?」
ちろりと視線を投げかけられれば、まあ、頷かないわけにもいかない。
じゃあ明日、宿の前に七時に集合だ。
と彼は言うと、去ってしまった。
「ゾロリ先生、ゾロリ先生ぇ?」
「ん?」
ノシシがちょいちょいと後ろから裾を掴む。この目はおねだりだな、と思いながらもとりあえず聞いてやる。
「…………遠足のお菓子買いたいだ……」
「……オラも欲しいだぁ」
―――自分でも、甘い、とは思う。
「一人三百円までだからなっ!」
『わぁぁーい!』
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