[ [ [  愛に言葉は要らない……で済むわけが無い。 4  ] ] ]


 しどけなく凭れかかるキツネを胸に抱きながら、満足げなガオンは、己の気のゆくままの妄想でしか味わえないと諦めていた数々の要素をたっぷりと盛り込んだ素晴らしい情事をやり遂げた達成感に浸っていた。
 一方それに付き合わされたゾロリは瀕死一歩手前だ。何度かあるキツネの嫌な記憶に今日の一件がきっちり書かれたのは語るまでも無い。
 そんなことに気づかないオオカミは、そのつややかな毛皮を撫でながら、自慢げに種を明かした。
「ウナギ型の夜のお相手用ロボットだったんだが。
 どうやらお気に召さなかったようだな」
ウナギで勃起したことを気に病んで落ち込む恋人に、そっと言ってやる。
「……ロボット?」
返答は期待していなかったが、予想外にも、ゾロリは言い返してきた。掠れた痛々しい声。喉も散々使われて息をするだけでも苦しいのだが、今の一言は聞き捨てなら無い。
「ああ。
 さっきの盥に一台紛れ込ませていた。お前のここを開くように」
太い指がゾロリの使われていたそこを撫でる。
 初めは撫でているだけだったが、執拗にその部位を弄び始めた。押したり、広げたり。だが、キツネは動かない。というよりは、動けない。肉体の限界を三回くらい超えてしまった所為で、身体の自由が利かないのだ。身をのがすことすら出来ないのだ。
 しかし、感じているから動かないなどと不埒で勝手な解釈を許して相手を喜ばせるのは癪なので、不機嫌さを伝えるために半眼で睨みつける。
「……ソロリといい……お前……そういうためのロボット作るの好きだな……」
「愛するお前を悦ばすためならなんでもするさ」
自分があの寂しい昼飯を味わっていた時、復讐心に燃えたこの男はこの淫具の開発に一生懸命だった、というわけだ。
 しかも、一時間半そこそこで新たなそれを作り上げてしまったこの手のことに対する集中力と技術力には脱帽する、というより、呆れ果てて本気で軽蔑する。

「…………。
 ――――――……一人でやってりゃいいのに」

ぽそり。
 ぎゅっとガオンの腕に力が籠もった。
 危機を遅れて察したキツネの背筋に冷たいものが走る、が、遅すぎる。

「では、もう一度始めからいこうか」

「うあああああっっ!
 ご、ゴメンなさいっ。
 ごめんなさい、ごめんなさい、ごめんなさいぃぃぃっ!
 嘘です冗談ですジョークですぅぅっ」
オオカミは薄く笑った。
 笑っただけで、何も言わない。
 涙を零してするキツネの哀願が認められたかどうかは―――

 ―――神のみぞ知る。




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