[ [ [  あらしのよるにパロ 1  ] ] ]


あらしのよるにのパロを考えていたら、いつの間にか王道要素大盛りの別の話になってしまいました、という。

 *** 設定 ***
 ゾロリ=天才過ぎるゆえに他の人々から煙たがられる存在。実は凄い寂しがり屋。
 ガオン=現王の力が弱まっているために、微妙に内紛状態の国の王子で第二王位後継者。ガオンが兄を差し置いて王になれという派閥、それに敵対する派閥が生まれ、幼い頃から熾烈な王位後継争いに巻きこまれてしまう。身内同士で争うのが通常で、何度も毒殺されかけており、全てを疑ってしまう性格になり愛を知らない。(王道要素その1
 ロジャー=ゾロリの住む国(共和制)のエージェントで国政を司る者の一人。ゾロリの悪戯の後始末等に幾たびも借り出され、ゾロリを叱り付ける役に収まりつつある。度々ゾロリの家を尋ね監視し、いつも独りでいることを心配している。(王道要素その2
 アーサー王子=ガオンの兄で第一王位後継者。腹黒い。

 ゾロリの国とガオンの国は隣同士なのに(なので?)どぎつく険悪な関係です。まあつまり、ロミジュリ設定。(王道要素その3


 *** 二話目 ***
 嵐の夜に出会った二人は、翌日待ち合わせどおり原っぱで落ち合います。
「まさか、お前……が、あの、ええと」
「あの、あらしの夜に、なのか?」
互いに初めは驚き、そして敵対する国の住人に対して胸中不審を抱くものの、自分から昨日の約束を反故するのはプライドが許さなくて緊張気味のピクニックの始まりです。
 初めは疑惑が渦巻いて気を許さないのですが、大きな湖に到着して、ゾロリが最終目的地へ行くために自分の作ったメカに案内すると、ガオンの目の色が変わります。実はこの王子、大の発明好き。
「ほう……おお、これがああなって。
 ふむ。エンジン音はなかなかだがこの変な物体はなんだ? 船の構造から思い切り無駄に見えるんだが」
「変ってなんだよ! 俺様の自信作のオトパスカルぞろりん号の威力を見やがれ」
「おお、これはなかな面白い」
そして、ゾロリは景色の素晴らしい―――彼しか知らない―――湖の孤島へ辿りつきます。その崖で、思わず足を滑らせて落ちようとしたところ、ガオンは咄嗟に己の帽子にしまっているマジックハンドで助けるのです。
 ゾロリは自分以外の発明家を見たのが初めてで、吃驚。

「な、なんだよコレ! 面白いじゃねえか」
「ふっ。まあこのくらい当然だ」

 ところが、二人揃って天下御免の自信家。相手が凄いというのは、面白くありません。絶対に自分が一番ではなければ嫌なのです。
 天下一の発明家の名をかけて、ゾロリが勝負を申し込むとガオンは受けて立ちます。
 第一回メカ対決の結果は、痛み分け。
「この続きは明日十一時一本杉の下だっ! わかったなっ!」
「へーんっ。
 もっとすっげーメカ作って泣かしてやるからかかってこーい」
こうして何度も決着の延期を繰り返していくうちに、二人は種族を超えて繋がるものを感じるようになります。
 ガオンは天才的で自由奔放な姿勢に惹かれ、ゾロリは彼が真っ直ぐに自分に向かってきてくれることが―――無視されないことが―――あまりに嬉しくて。

 ある日の黄昏時、いつものように決着がつかずじまいで終わり、意を決したガオンが良きライバルに真っ直ぐ向かって言います。
「また……明日な」
顔を夕日で真っ赤に染めたゾロリは、一瞬息を止めたものの。
「―――ああ。
 またな!」
と言って別れます。
 こうして友達になるのです。
 そして友達と思って完全に信頼するゾロリと愛情と劣情を刺激されつつ煩悶とするガオン。(← 友達だけど美味しそう。コレ重要


 *** 三話目 ***
 しかし、ゾロリの国とガオンの国は互いに対立関係。

 「最近、毎日楽しそうじゃないか」
ある日の夕食後。研究室で珈琲を飲みつつゾロリをぎゃふんと言わせることの出来るような新たな発明品の設計図をかいていたガオンの元へ、兄のアーサーが尋ねてきます。彼がここに来るのは珍しくて、ガオンは警戒します。そこへ言ったのが、その一言。
「―――なんのことですか」
「いいや。
 ……ほら、君は、一族から期待され、国民から人気があって、周辺諸国でも評判の高い、ミンナとって大事な大事な王子様だろう。
 変なことがあったら困るからさ」
「優秀さは兄上程ではありませんよ」
ガオンはアーサーの嫌味を聞き流しつつ設計を始めようと珈琲を手に取ります、が。
「そりゃ当然さ、僕に敵うはずがないからね。だが君は人気があるからねぇ。人気だけは、僕を凌駕する。
 だからこそ、困るんじゃないか?
 下らないスキャンダルなんて。
 王位が継げないどころじゃない。
 一族から処分されてしまうよ……君は無駄に愛されすぎている。
 可愛さあまって憎さ百倍。―――まあ、そのくらい、分かっているよね……ガオン?」
不気味な言葉に、カップに口につけたものの、ガオンは珈琲が喉を通りません。
 アーサーは笑って、次の発明はどんなのかい?と弟の手元にある図面を取り上げます。
 ああ、面白いねえ君の考えることは。
 と白々しく言って出て行くのでした。

 一方こちらはゾロリ側。
 ゾロリの古びた一軒家に久しぶりの来客。国政を司る者の一人、エージェントのロジャーです。彼の態度から、ゾロリは自分があっている相手が向こうの国の住人であることが自国の人々にばれつつあることを察しました。
「……お前が悪戯をしようが人に迷惑をかけようが、一向に構わん。止めてやるからな。
 だが、この国を裏切るのは止めておけ。
 向こうの奴らはお前を騙して利用するだけだ。
 お前が苦しんでいるときに最後に助けてくれるのはこの国の者だけだ。
 ―――それを忘れるな」

 しかし。
 ゾロリは近所に住むキツネたちに嵌められて、国境付近でうろついていたところをガオンの国の衛兵に捕まってしまいます。ロジャーの忠告空しく、彼が他の国の者と親しくしているのは既に多くの人々に知れ渡っていたのです。
 捕まったゾロリは、国で一番の広場の檻に幽閉。
 その檻を前にして、アーサー王子は国民達の前で尋ねるのです。

「ねえ、君が僕の弟、ガオンの、友達って本当なのかい?」

囚人は睨んで無言。
 他方、それを聞いた国民に動揺が走ります。  まさか、あの、愛すべき王子が隣国の者とつるんでいるはずがない。とは思うものの、心配でしょうがないのです。アーサー王子は観客達の心を察し、返答が戻ってくることはないとわかっていながらも、楽しげな口調で語りかけます。
「友達なら、助けに来てくれるはずだよね。
 ―――そう。
 ここに来たら、彼は裏切り者になるってことだ」
彼の一言一言は人々の心を揺さぶり、そして掌握し、一定方向へと導きます。
 すなわち、ガオン王子への疑惑へ。
 ガオンの取り巻きは広場の出来事を知って、直ちに王子を閉じ込めてしまうのです。噂の真偽がどうであれ、今王子に動かれるのは大変まずい。ガオン派の人々は隣国の者などさっさと処刑してしまえと主張し、弱味を握って優位に立つアーサー派は飼い殺しでいいだろうとせせら笑う。
 見世物状態のまま紛糾の決着がつくまで生かされるゾロリ。
 敵意のある衆人環視の中で、精神的にも肉体的にも追い詰められ、どんどん衰弱していきます。野菜屑を盛り合わせた餌を、這い蹲って食べさせられる。沸き起こる嘲笑。様々な屈辱的な行為を強いられるのですが、しかしキツネはそれらを気にした素振りを見せず、ただ遠い目をして空を見続けているのです。
 そんな状態が続いて一週間過ぎたある日のこと、ガオンは城の者を倒して脱走し、広場へ行って、そして、白昼堂々大事な友達を救い出すのです。
 二人はそのまま両方の国の国境にあたる険しい山へ逃げ込みます。


 *** 最終話 ***
 焚き火を囲んで逃亡中の二人。
「……お前、いいのかよ。あそこには、家族や、信じてる奴が、居たんだろ」
「ああ。
 彼らが、私をどれだけ想ってくれているのか、ようやくわかった。
 ―――君と会って、それがわかったんだ」

今までは、ただ、鬱陶しい束縛としか思っていなかった。
 だが、確かに彼らは、私を愛してくれていたんだ。

「しかし。
 君こそ、どうして逃げ出さなかった」
「……助けに来てくれると思ったからさ。あの状況で、危険を顧みずに、来てくれたら俺様だって改心してやったんだ。仲良くするつもだったんだ。だから待っていたんだ。待って、待って、待って―――。
 独りで居るは、嫌だとわかったんだ。
 お前のお陰でな」

 でも助けに来ないじゃねえか結局。

「私を愛してくれるならなおのこと、過ちは正してやらんと気がすまんのだ」
「大口ばっかり叩きやがって身の程を知らしてやらねえと俺様も怒りが収まらねぇんだよ」
にやりと笑って、がしっと手を組みます。
 最強コンビ結成。
 二人は山奥で材料を集めて、メカ軍団を作り上げます。
 まずはロジャーの率いる一個師団をあっさり打ち破り、ゾロリ側の国の中枢機関を支配します。そこでさらにメカを増やして、アーサーを軍長に置いた騎士団を崩壊させて、ガオンの国のお城を占領します。
 友情(?)と怒りに燃えた二人のツーカーのコンビプレイに歯が立ちません。
「メカ軍を引いてほしかったら今すぐに隣国と講和条約結びやがれ!」
とゾロリの要求に、それぞれの王は仕方なく、両国民が集まる広場で開催される講和会議に出席。
 そこで無理矢理調印の儀。
 その時になって、ようやくガオンが気がついたのです。
「おい、ゾロリ。
 お前、講和条約書き換えたのか?」
「え?」
条約内容の最後の最後に。

 現最高権力者は責任を取って引退すること。

 と一文が加わっているのです。
 茫然とする二人に、笑顔のアーサーとロジャーがやってきます。
「お見事。全く鮮やかな手際で助かったよ」
「あ、兄上!?」
「被害も最小。双方死者なし。
 ―――生き物同士なら殺し合いもしたがりますが、メカ相手に死ぬなんて馬鹿らしいですからね。負けるのに、言い訳も立つ」
「ろ、ロジャー……お前、怪我してたはずじゃ……っ!?」
「怪我は本当ですが、あんな程度どうでもないですよ。
 ―――嗚呼。アレが本気だとでも思っていたんですか。心配して下さってアリガトウございます」
ロジャーは突然の展開に焦るゾロリの頭をくしゃくしゃと撫でます。するとむっとしたキツネはその手を払いますが、エージェントは気にしません。
 ロジャーがアーサーの方へ振り向くと、黒い尻尾をくるんと丸めて王子は胡散臭い笑顔を浮べているのです。

「どうだい、凄いだろう僕の提案は。
 王位を継いで地道に国交回復なんてよりも、こっちの方が遥かに上手くいく。国民の了解も得やすい。それに、単純に共通の敵が居れば今後の国交回復も順調さ」
「腹黒とも言いますけどね」
「何とでも」

二人の雰囲気。まさに、ガオンとゾロリにあるそれと同じなのです。
 二人はずっと前から『友達』。
 ただアーサーの方が格段に上なので、ちっとも周囲に気づかれていなかった。
 眩暈を覚えるガオンとゾロリ。
 手の上遊ばれていたことに、怒りすら起こらない。

 こうして講和条約が結ばれたことを契機に一区切りついたので(=怒りが多少収まったので)、ガオンとゾロリは故郷を離れて山奥で暮らします。
 そして時折、戻って悪戯をしかけて多大な迷惑をかけるのです。
 一方、それぞれアーサーとロジャーが上手く統治して、隣国との対立が解消されて繁栄の時代を築いたのでした。





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