[ [ [  ぐるっとまわって1回転 4  ] ] ]


 ガオンの離れの館に、それぞれの部屋が割り当てられた。
 ゾロリ達の師匠連合は、明日の大会に不正が行われないよう互いに監視をしあうため、三人とも同じ部屋で眠ることになったらしい。アーサーはゾロリを信用していないし、ゾロリはガオンがメカイシシメカノシシをグレードアップするのではないかと疑い、一方ガオンはアーサーの不気味な強さに違和感を覚えている。
 夕食が終って、さあ眠ろうという段になってイシシとノシシの部屋の扉が叩かれた。
「夜遅くに、悪いな」
ゾロリかと思っていた双子は、猫の青年であると目に見えて落胆した。二人きりで眠るのは久し振りで、少しだけあのゾロリの香が寂しくなっていた。
 しかも彼の後ろには自分そっくりのメカが控えていたのだから面白くない。
「明日のことで、まあ、その相談に来たわけだ……が」
「オラたちペペロとは敵だよ!」
「メカイシシとメカノシシとも敵だよ」
分かってるよ、と彼は苦笑しながら二人を割って部屋に入る。その後にメカも続いた。イシシとノシシは警戒しながらも、ペペロが座るベッドの前に腰をかけた。
「……ゾロリ先生のために、おらたち頑張るだよ」
「我々もガオン博士のためにお前達を倒します」
そもそも仲の良くない四人は、互いに火花を散らす。
 待て待てとペペロは手を振って宥めた。これでは話し合いが出来ない。
「俺が見たところ。
 本気で倒すつもりならば、メカイシシ、メカノシシ。お前達が勝つ。ガオン博士が考え出したプログラムは流石に文句のつけようがない。戦車数体あってもお前達に勝てないだろう? 山を消せる特製ガオンミサイルZZなんて、どう相手すりゃいいんだよ。
 それに戦闘力だけじゃなく、即座に作戦を組み立てる自立型の思考回路まで搭載されていちゃ、最早脅威だよ。
 だから、俺たちには勝てない」
『だども!』
怒る双子見据えてにやりとペペロは笑う。
「だけど、勝負の内容がイタズラと優しさだったらお前達が一番だ。
 お前らの師匠は、イタズラにかけては天才。……そして、それだけじゃない。誰にも真似ることのできない広い心があるだろう? イシシ、ノシシ」
ゾロリを褒められると、まるで我が事のように嬉しくなった二人はえへへと微笑む。
「つまりさ、最高の弟子なんて、居ないんだよ。
 大事なのは師匠だ。違うかい?
 だから、弟子に優劣をつけるような勝負なんて始めから成立しない」
メカイシシとメカノシシは、目玉をピコピコと光らせす。唸るような低音の機械音。彼らの考えているときの癖だ。ペペロの発言に処理能力がおいつかないのだろう。
 イシシとノシシはペペロの言葉の意味の半分も理解できなかったが、ゾロリがよく言われているということだけは何とかわかった。
 たっぷり間を取って、一言。

「でも、師匠に優劣を決めるような勝負は、成立する」

ちょいちょいと手で招くと、四人はさっと耳を寄せてきた。
 ペペロはそこに面白い作戦を囁きいれた。




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