[ [ [ Romanticが☆止まらない 4 ] ] ]
「なんでお前はあの病気にかからないんだっ!」
「……多分ロジャーさんもかからないと思いますよ」
腹を立てる魔法使いに淡々と返答しながら、二人だけが暗い部屋から出てきた。
これ以上あそこに居るのは無粋だろう。盛り上った恋人たちが今何を始めようとしているかなんて、流石に問うまでも無い。
待合室には、双子が大人しくソファにちょこんと座って待っていた。二人の雰囲気はどことなく暗い。見れば、テーブルの上には真っ二つに壊れてしまった大きな甕がある。
ダポンはロジャーを一瞥すると、魔法使いは大きく溜息を吐いた。
「イシシさん、ノシシさん、無事終わりましたよ。
ゾロリさんまだ話し足りないようですから、少し二人きりにしてあげて下さい。
では、お城の人に報告をして、美味しい昼食でも食べましょうか」
「だども……」
「オラたち、この瓶を……」
「これは甕だ」
「いいからとっとと直していただけませんかー魔法使い様ー」
ダポンは冷淡に言うと、くるっと振り返ったロジャーは悔しそうな表情で睨みつけたが無視される。イシシとノシシは良かっただーと胸を撫で下ろしていた。
四人は連れ添って部屋を出る。
美味しい昼食の歌、を双子は斉唱しながら一番前を闊歩している。
「しかし、不止乙女心病など何故今更かかったのだろうか……。
マスドラが今年は花をつけてないし、何よりガオンはこの城にいたそうだが……」
「珍しい症例ですね。
―――って」
たまたま廊下の窓から外を見た。
隣は王子の温室。
その中に、木が見える。
魔法の国にしかない、マスドラの木が満開だ。
後ろ二人が立ち尽くしているのに木がついた双子は、ぱたぱたと愛らしい足音を立ててやってくる。そして、彼らも窓の外の木に気がついた。
マスドラの木は独特だ。根元は茶色なのに、枝先に行くにつれてグラデーションのように黄色へ変化する。そして葉は白い。なのに花は見事な紅。
いったん見ればそう簡単には忘れない。それは、三歩歩けば色々忘れてしまう小さなイノシシたちにも当てはまった。
「あー。オラたちがガオンにあげた団栗の木だぁ」
「さすがガオンだ。あんなに大きくなっただぁ」
通常花は木の上の方つくはずなのだが、どういう実を手に入れたのか、下まで咲き誇っている。これなら感染する可能性はあるだろう。しかも団栗を渡したはずなのにもう花が開くほど成長するとは。
事件の陰にイノシシあり―――
地球最後の日の機械が壊れた出来事を思い出しつつ、ロジャーは改めてゾロリの凄さを思い知ったのである。
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