[ [ [ 学校時代 ] ] ]
1.出会った時
二人の出会いはロジャー三年生、ダポン二年生時点。
ダポンが転校してきて数週間後くらいの話です。
ロジャーは三年生から生徒会見習いとなり、校内秩序維持のために権力と魔法を思うがままにふるっています。
その魔法の技術と強さに関しては学校内外でも評判高い天才児。
ただ天は二物与えずというかなんというか、規律に煩すぎて空気を読めないゴーイングマイウェーな性格が玉に瑕で、『他人にもう少し思い遣りをもてるようにしましょう』と一年生の頃からずーっと通信欄に書かれています。
玉に瑕どころかソレもはや健全な発達的に駄目なんじゃないの?と教師陣が畏怖を抱くようになるちょっと前、です。
一方、ダポンは二年生で転入。
魔法使いにちょっぴり憧れを抱きつつ、反発しつつの幼子です。
一年の頃には許可が下りなかったのですが、校長とダポンの父が懇意にしており、なんとか教育局の幹部を説得することが出来て、ようやく二年生になって魔法学校の入学許可を得ることが出来ます。
始めは、魔法が使えない子として特別視され、しかも遅れてきた転校生という感じがあって、クラスでもどこか馴染めません。
そんな折、一部の子が「魔法使えないんだろう」と馬鹿にして囃し立てるのですが、生来大人っぽいこの少年は視線で見下して相手にしない。それが癪に障って、彼らは魔法を使って追い立てると、まあ、使えないダポンは一方的に負けてしまいます。
小さな勝利に喜んだ子供達は「あいつは弱い」とインプットされます。
しかし、苛められて黙っていられる殊勝な性格ではないのが、彼の彼足る所以。
ダポンは弱いだろうと思ったクラスの男の子たちの多くが、次の日、彼を取り囲んで変身しろとか迫るのです。始めて怯え泣く振りをして言う通りにする―――振りをする。(これが『第41話ネリーちゃんをすくえ! の回想シーン』)
直後、変身を解いてぐるりと囲んでいた同級生たちから逃げ出します。
調子に乗っている子供たちは追わずにはいられない。そして森の奥へ奥へと逃げ込むのですが、そこには既にダポンの罠が!
苛めていた魔法使いの卵たちは見事に落とし穴に嵌まり、上からダポンが覗き込みます。そして、作ったばかりの毒ガス(超強力笑気ガス?)を流し込んで、
「あはは、リアル人体実験だ!
こんなにも上手く嵌るなんて間抜けだなぁ。少しは気づけっての。
ほらー、頑張れー。ガスが充満したらやばいぞー。
嫌なんだろう? 死にたくないんだろう? だったら早く上がって来いよ。他を突き落としてでも上がって来いよ」
と恐怖を煽る。
別に死ぬガスではないのですが、狭いところに押し込まれて、しかも笑いが止まらなくて軽いパニック状態。
そんなところに、ロジャー登場。
生徒会の役目の一環で見回りをしていたら、何故か立ち入り禁止区域に生徒の姿がみえるので、注意をしようと思って降り立ちます。
「お前っ、何をしているんだっ!」
と、一喝。
しかし、転入してきたばかりのタヌキは生徒会の存在そのものを知らない。
「はぁ?」
「ここは生徒が遊ぶのは禁止――――――
―――……お前は本当に何をしてるんだぁぁぁっ!?」
「軽い実験ですよ。なんです?」
吃驚したのはロジャーですが、ダポンは飄々としたもの。
すぐさま、笑いながら泣きじゃくる子供達を生徒会見習いは救出します。ダポンは計画が頓挫したので興味を失い、ああ鬱陶しいぼやきながら帰ろうとするのですが、それを見逃すロジャーではありません。
ダポンの帰り道を塞ぎ、上から怒鳴ります。
「人を実験台する奴があるかっ!」
「有り余るほどいるんだからいいじゃないですか」
「数の問題じゃない」
「じゃあ何の問題なんです?」
「実験をするときは必ず先生の許可が必要だと校則に書いているのを知らんのかお前はっ」
なんだこのズレている人は、とダポンは内心こっそりぼやくのはさておいて。
騒ぎを聞きつけて先生方もとうとうやって来ます。
子供同士ならば昨日のこともあって密告しないに違いないと踏んでいたタヌキは、ことが大事になって面白くありません。特に父にこういうことが知られるのは嫌なのです。
でも、自分は悪くないとダポンは言い聞かせます。ゆえに、堂々としている。
原因を聞いた先生たちは、とりあえず、全員で互いに謝ろうとの採決を下します。
しかし、他の子達は自分達がやった行為を恥じて素直に謝ってもダポンは絶対謝らない。
「……何も悪いことはしていないっ」
と頑なに言い張る。
彼としては、攻撃してきた相手を纏めて倒すための必要不可欠の仕掛け。
因果応報。やられた分をやり返しただけ。何が悪い―――としか思ってない。それに謝ってしまえば、父に悪いと自覚していることを自ら進んでやったという風に思われてしまうのが困る。
それは確かに一本筋が通っているように見えるのですが、どう説得しようと先生達が考えている間に。
それを横で見ていたロジャーが、ぷっつんと切れる。
「何が悪いことをしていないだぁぁぁぁっ!
この森は生徒は立ち入り禁止区域だっ。
そんな森に罠を張っている時点で許し難いっ。
しかもっ、許可なく私的実験とは、二年のくせに良い度胸だなっ!」
怖い。
この獅子は怒ると本当に怖い。
三年生とは思えないほど怖い。
言っている内容よりも顔が怖い。(笑)
その剣幕に飲まれて、先生も生徒もダポンも言葉を失い
―――十秒後。
自分が怒られているわけでもないのに二年生の子供達はあまりの怖さに泣き出し、つられて、堪えていたものがふっとんだダポンも泣き出してしまうのです。
泣けばなんだか気が晴れるのが子供というもの。
しかし子供らしさがあまりないダポンは、泣かされたことに腹が立ってロジャーを陥れようと躍起になります。
が、連日の執拗な攻撃にも関わらずその全てがかわされる。
ダポンの様子を見ていて、他の子も面白がってロジャー退治に加わります。こうしてダポンも難なくクラスに馴染める様になるのです。
2.生徒会時代
そんなこんなでダポンも三年生。このときからミリーさんとクラスメート。
五月半ばの生徒会会長選挙で、なんとも無茶苦茶な方法でロジャーが生徒会長になります。そして三年生のダポンを本人の意向は一切聞かずに生徒会見習いとして自分の配下へ。
一年間の敗北を経て、容易に勝てないことを知っているタヌキは渋々その条件を飲みます。
その日の夕方。
「あれ? これ、くっきぃ?」
まだ委員の選挙が終ってないので、二人きりの生徒会室。テーブルの上に皿があり、可愛い桜のクッキーが並んでいます。良い香りにくんくんとダポンの鼻が動く。
「焼いたんだ。食材選びにはこだわったんだぞ。
お菓子作りは昔から―――」
延々と続きそうな自慢話をさっくり無視して、ぱくりと食べるダポン。
「ふうん」
「なんだ、ふうんとはっ!」
「いや。食べたの初めてなもんで。こんな味なんだ。
美味しいですね。
魔法もそこそこだし、こんなのも作れるし、存外凄い人なんだなぁ、ロジャー先輩」
素直に褒められたのがあまりに意想外で、ロジャーの動きが完全に止まってしまいます。
ダポンは腕は信用できるのですが、なかなか性格が悪く、良い評価することはあまりないのです。
少し頬を赤らめて。
「そ、それなら、毎日焼いてきてやろうか?
ま、お、お前が私の仕事を、ちゃんと、手伝う、ん、だったらな!」
「成る程。そりゃ魅力的な条件です」
そして、ロジャー会長vsミリー反乱軍のカオスの時代へ。
でもロジャーの卒業式の日の一日前、ダポンは学校を辞めさせられます。こうして三人の繋がりは途絶えます。
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〔0.はじめに〕
〔1.学校時代〕
〔2.再会後1〕
〔再会後2〕
〔再会後3〕
〔再会後4〕
〔3.封印後〕
〔4.裁判前〕